Photographs by acane
AORファンのみならず渋好みの音楽好きをも魅了する、希代のシンガー・ソングライターがまさに待望の来日。70年代のLA感溢れる爽やかなアコースティック・サウンドの美メロながら、通奏低音としては意外な程にしっかり黒いソウルフル・グルーヴが流れる独特なソングライティング、更にまぶしい程に蒼く青年らしいハイトーン・ヴォイスで少し気難し気味な歌詞を歌う、という振れ幅がたまらない魅力で不安定な青春期の青年性そのものが大きな魅力だった。そんな彼の60歳を超えての今回のステージには正直、期待と不安の入り混じる心境……。
舞台に立った姿は驚く程リラックスした普段着で年齢相応に地味な男性であり、ギターをかけかえる度に丁寧なチューニングに時間をかけ、特に話術に長けた風でもない真面目MCにしろ、どちらかといえば主役としてのスター性アピールがない(失礼!)。
それが一度演奏に至るや、全ての不安は吹き飛び素晴らしいパフォーマンスに目を見張る。近年ヴィンテージ楽器を集めて過去の自作品のアレンジを全て見直す作業に没頭したという職人気質こだわり派のネッドに選ばれたバンド・メンバーは超一流。ヴァン・モリソンやプリンスのあの名曲を支えた腕っこき達がタイトにファットにグルーヴを刻み、奇跡的にまだ思春期のような蒼さをたたえた彼の歌声がこの演奏にのる気持ちよさは極上。ベテランにありがちな技量アピール的トゥー・マッチさの全くない、成熟を拒んできたかのようなヴォーカルが、洗練を極めた演奏にまさにピッタリくるのだ。アヴェレージ・ホワイト・バンドやチャカ・カーン等にカヴァーされた美メロ・ミドル・グルーヴの名曲達が更に大人っぽい装いで次々と甦る。アンコール「Whatcha Gonna Do For Me?」では限界までスローに落としても尚跳ねるグルーヴに永遠に浸っていたくなった。終焉後ステージ・バックに現れた夜景も相まって余韻が後を引くのが〈ビルボードライブ東京〉の素敵なところ!(増井志乃)
ヤンチャ&キュートなキャラクターで人気のメンバー、レフト・アイの突然の他界というショッキングなニュースは、今も記憶に新しい。辛く大きな転機をむかえたTボズとチリの二人は、ファンに待望されつつも数年の活動休止状態に。そして近年徐々に活動を再開していた二人が、TLCとしてのリスタートから初来日を果たしたのが今回のステージとあって、満場の客席は稀に見るテンション。
ステージに登場した二人は幾分大人の面差しを増して、クールなヴォーカルやダンス・パフォーマンスにも何ら翳りはなく、心配した程ブランクを感じさせない。背後のスクリーンには当時のPV映像などが流れる。時折レフト・アイの元気な姿が映る度に、楽曲の本来ラップのパートが訪れる度に、強烈な欠落感を覚えて胸をしめつける。
そうして膨らみ続けるレフト・アイの不在という共通認識が、ステージと客席をより親密に繋いでゆくのが見える。
MCでも繰り返したファンへの感謝の意は伊達ではなく、サインやハグを求めるファン全員に対して驚く程時間を費やし丁寧に応じていく二人。笑顔と言葉を交わし、手を握り、ハグし合う一部始終には、アーティストによるファンへの真摯な対応ということだけではおさまらない何かが感じとれた。皆の愛したとっても魅力的な女の子の不在を悼み合う、その為に必要な一連の工程だったように思う。(増井志乃)

TLC@7月14日(水)~17日(土)〈ビルボードライブ東京〉
初めて「ベイビー・ベイビー・ベイビー」を耳にした時の新鮮な驚き。完成度の高い最新サウンド且つポップな美メロに、T-ボズの類い稀なクール・ヴォイス、三人のキュートなダンス・アクトに一発でノックアウトされた。「クリープ」、「ウォーターフォール」、「ディギン・オン・ユー」とミドル&メロウなシングル・ヒットを次々と飛ばし絶好調の三人に、キュートなラップがヤンチャなレフト・アイの他界という衝撃が。その後一時活動休止していた二人は数年前から徐々に活動を再開、そしてなんと今回〈ビルボードライブ東京〉でのパフォーマンス、となれば期待値MAX!! クールでヒップでチャーミングな、フィーメールR&B「デュオ」としてのTLCをマスト・チェックです!(増井志乃)
なんと贅沢な! そして、この〈ビルボードライブ東京〉というスペースに相応しいライヴを体験しました。それもそのはず、ギター3人、キーボード 2人、トランペット、サックス、トロンボーン、パーカッション、女性コーラス2人、ベース、ドラムスという編成でparis matchの名曲の数々を聴けるなんて! 特にです! フェイヴァリット・チューン「Saturday」! ホーン・セクションが切れる切れる! リズ ム・セクションがうねるうねる! 途中、古内東子がゲストで登場。ミズノマリのソロ・アルバムに歌詞提供した「恋をした」を2人でしっとりと歌い上げ。後 半の展開は怒濤過ぎて超グルーヴィー。本日も同じ場所で2ステージをおこないます。本日のゲストは池森秀一です。必見!(山崎二郎)
3月8日更新
4月4日 流線形と比屋定篤子
4月16、17日 paris match
5月19〜22日 セルジオ・メンデス
5月24、25日 古内東子
以上〈ビルボードライブ東京〉http://www.billboard-live.com
2月21日更新
2月21〜22日 ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズfeaturingエンディア・ダヴェンポート
3月17、18日 チャック・ブラウン&ザ・ソウル・サーチャーズ
4月4日 流線形と比屋定篤子
4月5〜7日 ブライアン・マックナイト
4月16~17日 paris match『10th Anniversary Special Night』
スペシャル・ゲスト 16日、古内東子 17日、池森秀一(DEEN)
5月19~22日 セルジオ・メンデス
以上全て〈ビルボードライブ東京〉http://www.billboard-live.com
「feature」欄でインタヴューを掲載している、ロンドンからのニュー・カマー・バンド、ママズ・ガンが来日決定です!(山崎二郎)
すごいすご過ぎる! 今年の、いや、これまで観たライヴのベスト5に入るライヴを体験できました。
スライ&ファミリーストーンから自らのバンド、グラハム・セントラル・ステーション、プリンスにも参加している、生きるファンク・レジェンドであるラリー・グラハム。それに、グラハムも参加した超ファンク大会アルバム『ブリンギング・バック・ザ・ファンク』を昨年リリースした、ブライアン・カルバートソン。加えて、EW & Fのメンバーであるシェルドン・レイノルズ、ラリー・ダン。
この組み合わせでどんなファンクが観れるのかと思っていたら、これがこれが! とにかく先輩ファンク・ミュージシャンと演奏する喜びが、先輩へのリスペクトが伝わってくる、カルバートソンののステージ・アクションが、その喜びがフロアを暖めて暖めていく。EW&Fクラシックスの演奏も「懐かしの」的な緩い感じじゃなくて、ひたすらグルーヴィー。カルバートソンと並んで、この2人だけ白人と思っていた、トランぺッターがなんとカルバートソンのお父さん。しかもこの日がバースディ。泣けるいい話。キーボードからトロンボーンと手にする楽器を変えながら、グルーヴ・マーチャントをつとめるカルバートソン。十分満足し切っていたが、ショウはまだまこれから。
白いスーツに、ヴォーカル・マイクをベース・ギターに装着したスタイルでグラハムが、言葉通りに2階から来臨! 昨年奇跡の来日を果たしたスライと違ってバリバリの現役感。やっぱ、このベースの音、他の人は弾けないわ~~と驚嘆&ダンシング。時に歯でベースをかじり弾いたり、2階席のテーブルに上がったりと、とにかく、盛り上げ方がハンパない。で、バンドは劇グルーヴ奏でてるしで、てんやわんやな状態。「こんなライヴがこのハコで観たかった!」と叫びまくり。
がっちりと2時間くらい。しかもこれ1stステージなのだから……。「ファンクが好きでよかった」と心から喝采と感謝の言葉を返したい。(山崎二郎)
AORと呼ばれる音楽が、時代にぴったり寄り添った時期があった。洗練されたサウンドそのものと、シャレたライフ・シーンを喚起するイラストや写真を多用したジャケット・デザインなどから膨らんだイメージが、アーバンな大人のライフスタイルのBGMに欠かせない存在となり、キャッチーなフレーズと共にシャレたイメージが瞬く間にメジャーに支持された。ボビー・コールドウェルやクリス・レアなどをドライヴ・デートの車中で、オシャレなカフェ・バーの間接照明の下で、シャワーのように浴びた40~50代にとっては永遠の青春チューンだろう。
そんなAORシーンにありつつ、高い音楽性そのものだけで渋好みの音楽通さえ魅了したアーティストがビル・ラバウンティだ。不朽の名作アルバム『Bill LaBounty』 を見れば一目瞭然、洒落たジャケなどの小細工は一切ナシ(笑)だが、一聴してその中身の濃さに衝撃を受けたことを思い出す。メロディ・メイカーとしてのク リエイティヴィティと、キラ星の如き手練れメンバー(スティーヴ・ガッド、スティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロ、チャック・レイニー、デヴィッド・サ ンボーン、パティ・オースチン、スティーヴン・ビショップ、ジェイムズ・テイラー、ジェニファー・ウォーンズ……)の参加した超極上サウンド&コーラスに 浸る贅沢。今聴くと、アルバム一枚を通して聴く行為の価値を、あらためて思い知らされる。
そんな彼が久し振りの新譜『back to your star』を発表しての今回の来日には、アルバムにも参加したフュージョン・ギタリストの雄、ラリー・カールトンがゲストに迎えられた。
一人でステージに登場したビル。
メロウな〈フェンダー・ローズ〉の弾き語りから始まって、メンバーが加わり、懐かしい「DREAM ON」を披露。25年ほどの時を経て、生の演奏を目の当たりにした喜びの表情が、客席の大人達の面々に浮かぶ。
新譜からの楽曲と旧作を織り交ぜて演奏していく流れがとてもスムーズで、時代の隔たりを感じさせないソングライティングにブレの無さを実感。キャリアの早い時点で、如何に高い完成度に到達していたのかがうかがい知れる。
旧作での高音パートが若干苦しそうだったものの、ナチュラルで柔らかい歌声はあの頃のまま。「NEVER GONNA LOOK BACK」「LOOK WHO'S LONELY NOW」など、泣きの美メロとツボをおさえたローズにグッとくる。
5曲ほどではあったがプレイに加わったラリー・カールトン。
ソロ・パートではブルージーで歌心のあるフレーズを次々繰り出して抜群の存在感をアピールし、楽曲のバランスにも馴染む引き算のプレイにさえキラリと光る響きを潜ませて、トップ・プレイヤーの矜持を見た。
アンコールでの「LIVIN' IT UP」、ミドル&メロウなゆっくり跳ねるサウンドが身体に心地よいのは、25歳分大人になっても少しも変わっていなかった。
10/7(水)もステージあり。(増井志乃)
「絶対に観ておかなければ」という想いで駆けつけた給料日直後の金曜の夜の六本木。女性で埋め尽くされたフロアの艶やかさが嬉しい。
ステージに目を向けると、ツイン・キーボード、ドラムス、ベース、ギター、ツイン・コーラスと、全員が女性。ベースの音圧がいい感じ。
ミドル&メロウなオープニングでフロアは揺れるも、その後はしっとりとバラード系を聴かせる。ラスト近くで再びスタンド・アップ系に。
アンコールでは久保田利伸が登場し、フロアを煽る煽る。ヤング・ソウル。その言葉が相応しいミュージック・ソウルチャイルドのステージであった。(山崎二郎)
ブラジル音楽界のヴェテラン・シンガー・ソングライター、ジョイス。毎回多彩なゲストを迎えて有意義なライブを披露してくれる〈ブルーノート東京〉での公演、彼女が今年ゲストに迎えたのはジョアン・ドナート。
ボサノヴァ第一世代にありながらも、いち早くその枠を超えてジャズやラテン界のミュージシャン達と活動してきたドナート。独特の憂いをはらんだメロディが魅力のソングライティングは、一線のアーティスト達からも評価が高く、ガル・コスタやカエターノ・ヴェローゾなど大物シンガーにもカヴァーされ、後進のミュージシャン達の尊敬を集める存在。ジョイスと共演での来日は、前回の〈ブルーノート東京〉公演以来、8年ぶり。
ジョイスの軽やかなギターとリラックスしたスキャットが、澄んだ空気のように流れて耳に心地よい。ジョビンのカヴァーを数曲、続いての自身の曲も、どれも自らのこなれた形で奏でられて、全てが紛れもなくジョイスのスタイル。ほとんどの楽曲でギターを演奏しながら歌う彼女。そのギターとヴォーカルは、いつもぴったりと寄り添って馴染む、理想的なベスト・パートナーだ。
ボサノヴァ・スタンダード「ソ・ダンソ・サンバ」のカヴァーからドナートが登場、肩の力の抜けた洗練のピアノが彩りを添える。
ライト・タッチでエレガントなピアノ・スタイルから、ダンサブルでパーカッシヴなタッチまで、脇に徹した控え目なプレイの中で豊かな表情を見せる演奏は重鎮ならでは。シンプルにも聞こえる演奏に、引き算のテクニックとかえって凄味を感じる。
ジョイスが「ピアノ ノ センセイ デス」と紹介していた、やさしいおじさん、といった様子のドナート。二人の交わす温かな笑顔に、何よりも尊敬と信頼関係がうかがえて、穏やかに充実したとてもチャーミングなステージだった。
秋の夜長に余韻も素敵な公演、10月1日(木)まで。(増井志乃)

米ソウル界のリヴィング・レジェンドの15年ぶりの来日! しかも親密な小バコ・スペースである〈コットンクラブ〉でのライヴ!! この思わず二度見した程の超コーフン情報にエキサイトしたご同輩は数知れず。
忠実にこの日を待ち焦がれてきた、ソウル通熟年層を中心としたファンで満場の客席は、ノリの良い大人達の期待でパンパンに膨れ上がった状態。客席内の交歓も活発で、これから始まる新たなレジェンドの目撃者になろうという共感&高揚感で、既に喜色満面。
メイズのメンバーがステージに登場、前奏始まるや場内は急速にヒート・アップし、フランキー・ビヴァリーの登場で一気に沸点の総立ち状態。
トレード・マークのキャップを被って、シンプル&クリーンな装いがお洒落なフランキー・ビヴァリーが軽やかに、変わらぬ姿でここにいる奇跡を噛みしめつつ、健在なスムーズ・ヴォイスに胸がいっぱいに。バランス抜群・タイトなサウンドで固めるメイズのメンバーは、スティーヴィー・ワンダーやジョージ・デュークなど、いずれもトップ・アーティストと演奏を共にする手練れの面々。安定感あるプレイに、フランキーのエネルギッシュ且つ繊細なヴォーカルが層をなし、言い様のない包容力を醸し出す。40年もの間一線で活躍し続け、今も尚現役で進化し続ける彼等。自信に裏付けされた本物感が後光を放ち、神々しいまでのオーラが漲る。
「I Can't Get Over You」のスマートなグルーヴに身体を揺らしつつウットリ、「Joy & Pain」では場内大合唱、「Before I Let Go」ではクールなベース・ラインに昇天……いずれも名曲揃いのプレイ・リストに、リテラシーの高い客席も積極的に反応して満足度が雪だるま式に加速する。
グルーヴィーでありながらエレガント、渋好みの大人向け極上ソウル・ヴェニューを、確かに目の当たりにした伝説の現場〈コットンクラブ〉、後々まで「I was there」と言いたい自慢の一夜を携えた笑顔の大人達の、冷めやらぬ興奮でざわめく会場を後にした。
25、26日も公演あります!(増井志乃)

ミドル&メロウなソウルの名曲〈♪シルキー・シルキー・ソウル・シンガー……〉を自ら体現するスムーズ・ヴォイスの持ち主、フランキー・ビヴァ リーをヴォーカリストにすえた伝説のソウル・グループ、メイズ。グルーヴィーでありながらエレガント、渋好みのサウンドは大人の雰囲気漂う極上のソウル・ ミュージック。
本国アメリカではアリーナ級のステージを踏む彼等が、15年ぶりの来日に選んだのはスモール・キャパシティの〈コットンクラブ〉。この親密な空間にリビング・レジェンドが舞い降りる奇跡を見逃すべからず!!(増井志乃)
ベルリンを拠点に活動するプロデューサー/DJユニット、ジャザノヴァ。既にクロスオーヴァー・ジャズ系クラブ・イヴェントなどでDJとしての来日は数多く、リミックス・ワークではハウス、ヒップホップ系アーティストなども数多く手掛け、幅広くジャンルレスなDJチームとして広く認識されている。
そんな彼らが昨年発表した快作アルバム『Of All the Things』が、意外にも〈モータウン〉やブラジリアンのフレイヴァー溢れるバンド・サウンドで、DJプレイのイメージが強い彼等がどんなステージ・パフォーマンスを見せるのか待望の来日。
ゲスト・ヴォーカルに迎えたのはアルバムでもフューチャリングしたデトロイト出身のポール・ランドルフ。8人ものほぼ白人メンバーの中で濃厚な異彩を放つ。ベースを弾き歌い踊る彼のひとつひとつのアクションが、ステージを〈モータウン〉からブラジルにまで曲毎に染め変える、エモーショナル&パワフルなパフォーマンス。「Lucky Girl」、「Let Me Show Ya」などポップな楽曲の力を存分に引き出している。
クラブ・テイストの無機質なトラックに沿って、徐々にウッド・ベースやホーンが加わり音圧を増して並走していくという意趣を効果的に配して、ハウス的に登り詰めてゆく高揚感が生楽器によってもたらされ、このユニットのアプローチの新鮮さを確認する。クラブ音楽の愉悦と生演奏の充実、最新のサウンドによる快感原則とエヴァーグリーンな名曲の素晴らしさ、その両方を心得た彼等ならでは体現出来得るスタイルだ。
アンコールでは、アルバムにも参加したリオン・ウェアによるミドル&メロウの傑作「Rockin' You Eternally」をプレイ、珠玉のベース・ラインが余韻を残す。ご本家リオン・ウェアの来日ステージでも同曲がスポットライトを浴びていたのがほんの数日前のこと。新旧の幸せな交歓がもたらした実りを、数日の間に目の当たりに出来たのは必然だったように感じる。(増井志乃)
ソングライター、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ダニー・ハサウェイ、ミニー・リパートン、そしてマーヴィン・ゲイの伝説の名盤を手掛けたミスター・メロウ・ソウル、リオン・ウェアの待望のステージ。
マックスウェルの魅力を存分に惹き出したミドル&メロウの名曲「Sumthin'Sumthin'」の演奏に乗って、スムーズなファルセットで登場した希代のメロディ・メイカー。大ヴェテランならではの肩の力の抜けた、しかしツボを確実におさえたフェイクが最高に気持ち良い。
マイケル・ジャクソンへの愛あるメッセージをMCして、マイケル少年時代のハイトーン・ヴォイスが軽快だった「I Wanna Be Where You Are」を、よりミドル&メロウなアレンジで客席と共に合唱、繰り返す歌詞とメロディの切なさに胸キュン。
ミニー・リパートンの名曲「Inside my love」はよりダウン・テンポに、女性コーラスをメインに据えてしっとりと、そしてねっとりと官能的なアレンジがたまらない。ミニーのエンジェリックな歌声で気付かずにいた、本来楽曲の持っていたセクシーさにハッとさせられる。
クインシー・ジョーンズやダニー・ハサウェイへの提供曲の合間には自身のアルバム収録作も披露。中でも「Rockin' You Eternally」のメロウ・グルーヴは最高にクール、エンドレスにこのフレーズのループに身体を揺らしていたいようなコード進行の魔法、その真骨頂。マーヴィン・ゲイの「I Want You」で、エンドレスなループのマジックに陶酔しているうちにリオンはフェイド・アウト。
アンコールではAOR世代待望の「Why I Came To California」、と
濃厚な名曲の連打。益々艶がかったファルセットがたまらないミスター・メロウ・ソウルに導かれて、ソウル・ヘヴンに昇天……。(増井志乃)
ソウル、フォーク、ジャズ、ポエトリー、R&B……といずれのジャンルにも括れない、オリジナリティの高い作品群を発表し続ける、孤高の吟遊詩人、テリー・キャリアー。
70年代から活動し続けていた彼が、90年代にジャイルス・ピーターソンやポール・ウェラーなどイギリスにおけるクラブ・シーン人脈によるリスペクトを集めて、その存在を「発掘」されてからというもの、新たなファン層を開拓し若い世代にも再評価される機会を得ている。
その後も次世代のミュージシャン達と交流を深めて、4HERO、ニティン・ソーニー、イアン・プーリーetc…とも人脈を広げていく。そしてシングルでも共作したマッシヴ・アタックとは、テリーの最新アルバムでもコラボレーションしている。
揺るぎない世界観を持つアーティストに、彼をリスペクトするミュージシャン達がスパイスとなって新しい魅力を引き出している、最新型の彼のステージを是非体感したい。(増井志乃)
ハワイの海風と太陽の香りのするフュージョン・サウンドで70年代に活躍した伝説のグループ、シーウィンド。
ハーヴィー・メイソン、トミー・リピューマ、ジョージ・デュークという、錚々たるプロデューサー陣と共に送り出してきた作品群は、フュージョン・ファンのみならず、クラブ・シーンでも愛され続け、今もキラキラと眩しい光を讃えている。
今年の春になんと29年ぶりにオリジナル・メンバーが集結してのニュー・アルバムを発表、その名もズバリ『REUNION』。その新作を携えて奇跡のリユニオン・ステージが、今回〈ビルボード東京〉に実現したのだ。
ステージに登場したメンバーには年月を感じさせられつつも、「Aloha」と呼びかけて現れたヴォーカルのポーリーンの美しさはあの頃のままで、なんだか嬉しい。
アルバムの構成同様、書き下ろしの新曲に往年の名曲セルフ・カヴァーを織り交ぜて、演奏が進む。そうした楽曲の合間には、ウェイン・ショーターの作品を挟んだり、ジャズ畑出身のメンバーによる確かなプレイも存分に盛り込まれる。このメンバーとしては30年近い活動のブランクのせいか、ジャズ・フュージョンの華やかなりし時代の感覚を真空パックしたようなステージに、かえって新味が感じられる。
決してパワー・シンガーのタイプではないポーリーンが、バンドのサウンドにゆったりと寄り添って歌う様子は、いまだ愛らしく笑顔もとてもチャーミング。
長い歳月を経て再びこんな活動が出来ることへの感謝と喜びの気持ちが、メンバー全員から溢れ出ていて、なんだかいいなあ、と胸がいっぱいに。
アンコールでは「He Loves You」を披露。クラブ・ミュージックから遡って、シーウィンドのファンになったクチには待ってましたの名曲。愛情溢れる歌詞を、包容力ある笑顔で歌うポーリーンの姿に、ふんわりあたたかい幸福感でライブを見終えた。(増井志乃)
もはや〈ブルーノート東京〉常連組となったブラジルのヴェテラン・シンガーソングライター、ジョイス。今年の公演では、なんとブラジル音楽界のVIPの一人であるジョアン・ドナートと共演という嬉しいニュースに、ブラジル音楽ファンは身を乗り出すこと必至。
ドナートといえばメランコリックな美メロの数々を生み出し、確かな演奏で一流のシンガー達をサポートし続けてきたボサノバ勃興期からの主要人物。包容力のあるピアノ・プレイの魅力には説明は要らない。
キャリアの長いジョイス自らが「Long Time Hero」と称する、大先輩とのコラボレーション。音楽という共通言語によってコミュニケーションし得る者同士の、リスペクトから生まれるライヴ・パフォーマンスを、是非体感したい。(増井志乃)
(予約・問)tel.03-5485-0088 http://www.bluenote.co.jp
キーボード奏者、アレンジャー、プロデューサー、DJとマルチなクリエイター、ロマン・アンドレン。本人名義のアルバムは、これが2007年現在の新作?と疑いたくなるばかりのレトロな質感、リバーヴ効いてソフト・フォーカスなコーラスや音色に、絶妙な「あの頃感」エフェクトのかかったブラジリアン・テイストのムード・サウンド。
緻密な計算、技術と情熱なくしては、今では逆に出せぬ味を再現した上で、現在のクラブ・シーンにアピールする普遍性をも併せ持つ、そのバランス感覚はかなりのキレ者。スウェーデンの生んだデオダートとの異名にも納得。
コージーなスペースで、サマー・カクテルを傾けつつ、遠いあの夏に想いを馳せるひと時に、これ以上の生BGMはないでしょう……。(増井志乃)
(予約・問)tel.03-3215-1555 http://www.cottonclubjapan.co.jp
75年発表の『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ』。タイトルからジャケ写から中身のサウンドまで、超シビレルこのアルバムでマリーナ・ショウを思い起こす人も多い筈。
この名盤の魅力を、チャック・レイニー、ハーヴィー・メイソン、デヴィッド・T・ウォーカーなど名うての実力派ミュージシャン達が支えていたことは、その後のそれぞれのレジェンド・プレイヤーぶりを見れば言わずもがな。全員がリーダー・クラスのこのメンバーが、30年余りの時を経てファーイースト・ジャパンの〈ビルボード東京〉に集結、ってまさに真夏の夜の奇跡!
これは不義理をしてでも観に行く必要アリ! (増井志乃)
(予約・問)tel.03-3405-1133 www.billboard-live.com

ソングライター、プロデューサーとして関わった人脈はマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ダニー・ハサウェイ、ミニー・リパートン……と枚挙にいとまなし。マーヴィン・ゲイのアルバム『アイ・ウォント・ユー』は伝説の名盤。
ソウルにとどまらぬ作風は、マルコス・ヴァーリとの交流からブラジル音楽や、AOR的なフレイヴァーまで手中におさめ「Why I Came To California」などの名曲の数々は、後のクラブ・オリエンテッドなファン層をも魅了している。
その上マックスウェルの魅力を存分に惹き出した「Sumthin'Sumthin'」を始め、ネオ・クラシック・ソウルやヒップホップ新世代とも積極的に交流し、いずれも名曲連打の現役ぶりはかけがえのない存在。
ジャザノヴァとの近作や昨年発表した自身復帰作でも、益々艶がかったファルセットがたまらないミスター・メロウ・ソウル、レアな来日ステージにむせび泣き必至!!(増井志乃)
(予約・問)tel.03-3215-1555 http://www.cottonclubjapan.co.jp
ボサノヴァ第二世代として、セルジオ・メンデス等と共にその活動も世界観も大きく広げた功労者、マルコス・ヴァーリ。恒例となった〈ブルーノート東京〉公演は、いつもリラックスしライヴを楽しんでいる雰囲気。親日家でもあるらしい。
不思議な憂いを含んだオリジナリティ溢れる美メロの数々は、未だ色褪せぬ傑作揃いな上に、ずば抜けて備わったダンス・オリエンテッドなグルーヴ感は、他の追随を未だ許していない。ポルトガル語の歌詞を聴いて意味を理解は出来なくても、音数のひとつとして言葉遊びのような語感の歌詞が多く、グルーヴを更に急き立てるように作用して加速感が増すのも魅力だ。
マルコスのエレピが奏でる洒脱なフレーズの数々は、涙モノの心地よさ。そこにキレと跳ねの効いたベースと、出過ぎないトランペットが絡み大人なアレンジ。
15曲程の演奏のうち半分以上が、自然に身体の揺れるミドル・グルーヴで、サマー・カクテルもつい進んでしまう。あまりにも有名過ぎてベタ、な印象さえある選曲の「サマー・サンバ」も、本家の手による大胆な解釈は聴き違える程にクールで唸らされる。
終始肩の力の抜けた軽いノリで、やってのける重心の低いグルーヴ感にメランコリックなメロディ、こんなギャップが何よりも魅力。各ステージ毎に演奏曲もかなり変えている様子。
夏にマルコス・ヴァーリのライヴを楽しむ贅沢さ、来年も是非!(増井志乃)
東京駅〈COTTON CLUB TOKYO〉
8月21日(金)〜-23日(日) レオン・ウェア
ソングライター、プロデューサーとして関わった人脈はマイケル・ジャクソン、クインシー・ジョーンズ、ミニー・リパートン……と枚挙にいとまなし、マーヴィン・ゲイの『I Want You』は伝説の名盤。その上、マックスウェルを始めとしたネオ・クラシック・ソウルやヒップホップ新世代とも積極的に交流し、いずれも名曲連打の現役ぶりはかけがえのない存在。ジャザノヴァとの近作や昨年発表した自身復帰作でも、益々艶がかったファルセットがたまらないミスター・メロウ・ソウル、レアな来日ステージにむせび泣き必至!!
(予約・問)tel.03-3215-1555 http://www.cottonclubjapan.co.jp
青山〈Blue Note TOKYO〉
6月13日(土)〜16日(火)テリ・リン・キャリントン・グループ
ハービー・ハンコック、チャカ・カーン、ジョージ・デューク……数々のセッション経験が物語る、実力は大物のお墨付き、女性ドラマーのテリ・リン・キャリントン。今回はコンテンポラリー・フュージョンの凄腕ミュージシャンとともに、スペシャル・ユニットで登場。「こんなの待ってた!」な、ミドルでメロウでグルーヴィーなスタイリッシュ・サウンドを是非生で!!
7月10日(金)〜13日(月)マルコス・ヴァリ
ボサノヴァの勃興期から今まで、全く色褪せることのない名曲の数々を生み出した、希代のメロディ・メイカー、マルコス・ヴァリ。親日家なライフスタイルがにじみ出たような、ナチュラル&リラックスなパフォーマンスは、〈Blue Note TOKYO〉公演でもお馴染みとなっているが、彼の魅力は、むしろ未だ刺激的な独自のグルーヴ・センス。美メロを更に強烈に焼きつけて、ゆっくり体が揺れてくる、大ヴェテランの現在進行形を今年も詣でる喜び。
(予約・問)tel.03-5485-0088 http://www.bluenote.co.jp
6/29(MON)-7/1(WED) En Vogue
R&Bシーンにおける女性ヴォーカル・チームの現在形に、多大な影響を与えた彼女たちが再結成。確かな歌唱力にダンス・パフォーマンスと美貌まで兼ね備えたリユニオン・ステージは、まさに眼福となりそう。
7/21(TUE)-7/22(WED) Seawind "REUNION"
70年代に活躍したフュージョン・グループ、紅一点ヴォーカルが運ぶサマー・ブリーズは、今も変わらず心地よい。この春なんと29年ぶりのアルバムを発表しての来日ステージ、オリジナル・メンバー集結の奇跡は、これぞ〝リユニオン"!
(予約・問)tel.03-3405-1133 www.billboard-live.co.jp
6/26(FRI)-7/1(WED) RAPHAEL SAADIQ
彼が楽曲にクレジットされているかどうかを基準に選べば間違いない。そんな近年のR&Bシーンの重要人物、洗練されたいぶし銀のサウンド・センスはスーパー・クール!
7/6(MON)-7/9(THU) PHAROAH SANDERS
スピリチュアルで激情的、メロディアスでメランコリック……その振り幅とオーラ漂うたたずまいの、現在形の演奏を直に見届けたい。
8/24(MON)-8/29(SAT) THE RAMSEY LEWIS TRIO
現役リスナーだった大人達も、90年代のクラブ・ジャズ・シーンで親しんだアラフォー層も、彼が鍵盤からはじき出すグルーヴィーな美メロの数々を美酒とともに味わえる好機。
(予約・問)tel.03-5485-0088 http://www.bluenote.co.jp
6/20(SAT)-6/21(SUN) TUOMO
07年のデビュー・アルバムでは本寸法な'70sソウルを披露、それがフィンランドの青年から発信された新鮮さに驚いた。2作目のアルバムを引っ提げての今回、ジャズ・ピアニストとしてもハイ・スキルな若き才能を、是非生で鑑賞したい。
6/30(TUE)-7/2(THU) INGER MARIE
ノルウェーのコンテンポラリー・ジャズ・シーンでキャリアを積んできた彼女、確かな実力と大人ムードな気だるい歌声がとてもエレガント。メジャー曲のカヴァーの数々が、アンニュイに洗練された彼女色に染まったニュー・アルバムを聴くにつけ、ライブ期待値大。
7/10(FRI), 7/11(SAT), 7/13(MON) MINT CONDITION
生バンドでR&Bやファンクを享受する楽しみは、打ち込みに馴れた耳には尚のこと刺激的。数少ない生ファンク・バンドの彼等が復活、しかも'80sミネアポリス由来でグルーヴィーもメロウも重量級!
7/31(FRI)-8/2(SUN) CON FUNK SHUN
アンセム・チューンの数々はキラ星の如く。オーヴァー40がむせび泣く、説明不要のパーティー・ナイト。ブラス・エレクトロ・ファンクにメロウなバラード、全てに通底するアーバンなフレイヴァーに、あの頃のトキメキが甦りそう。
(予約・問)tel.03-3215-1555 http://www.cottonclubjapan.co.jp
本人の希望でステージ後ろのカーテンが開けられ、夜景がバックに演奏。うん、これこそが〈ビルボードライブ東京〉ならではの気持ちよさ。ジャズ・スタンダー ドからしっとりとスタート。が、「smilin'」などのミドル&メロウものも、このお店とピッタリ。ゲストで登場したのは、小学校の同級生のトライセラ トップスの和田 唱が登場。ラストの「September」のカヴァーで、グルーヴがはじけるバンド。しっとりとしながらグルーヴィーな、彼女の両面が味 わえるライヴでした。(山崎二郎)

撮影・土居正則
冒頭の高橋幸宏との2ショット・トークもツアーでこなれてか、リラックス・ムード。次いで登場のSoul Connectionのメンバー(佐橋佳幸、小原 礼、Dr.kyOn、高橋)、ホーン・セクションやコーラスも含めて、いずれも選りすぐりのドリーム・ チーム。このメンバーでレコーディングを経て、全国ツアーのラストがこの公演ということもあり、新作からの曲も既にバンドそのものによく馴染んでいて、どれも楽しい。
しかし旧作からの楽曲はより耳馴染みなだけに、尚更プレイヤーの秀逸さが鋭く伝わってきて、「風来坊」、「ほうろう」などのユルめにうねるグ ルーヴたるや、素敵に枯れた小坂のヴォーカルもあいまって、真骨頂。精鋭メンバーによる本当に良質な大人の音楽を、このコージーなライヴ空間で享受すると いう、極上の贅沢感で胸がいっぱいになった一夜。(増井志乃)
キース・スウェット 4月17日(金)〜19日(日)
ジェイソン・チャンピオン 4月24日(金)〜25日(土)
小坂忠&Soul Connection 4月26日(日)〜27日(月)、30日(木)
ウーター・ヘメル 5月19日(火)〜20日(水)
土岐麻子 5月21日(木) K-Ci & シスコ 5月22日(金)〜24日(日)
ブランディー 5月25日(月)〜27日(水)
キザイア・ジョーンズ 6月1日(月)
tel.03-3405-1133
www.billboard-live.com
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