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自らも踊る王として有名なフランス国王ルイ14世、そのバレエへの桁外れの情熱で、パリ・オペラ座バレエ団を創り上げたのが今から348年前のことという。
そして現在、この世界最古のバレエ団は、長きの間変わらずに世界の最高峰に君臨し続けている。
ドキュメンタリー・フィルムの巨匠フレデリック・ワイズマン監督のカメラが、84日間にも及ぶ密着撮影により、そのオペラ座のすべてを160分の映像に詰め込んだ今作。
タイトルに違わず、まさに〈すべて〉が詰まっている。
華やかなエトワール・ダンサー達の稽古、群舞の団員達の稽古、舞台スタッフ、芸術監督の日常業務、衣装部のお針子の作業、事務職のスタッフ、清掃員、労組会合、営業ミーティング、スポンサー対策、指導者たち、社食、喫煙所、屋上の養蜂(有名なオペラ座はちみつが採れる)、巨大な地下水空間に住む魚(『オペラ座の怪人』でお馴染みの地下スペースは実在)……。
豪華で荘厳な建物に、伝統的で華麗なバレエの演目を、着飾った紳士淑女が優雅に観覧するお上品な劇場……人々の抱くオペラ座のイメージとは、概ねこのようなものではないだろうか。
しかし透明な存在と化したカメラが、静かに眺めまわしてきた既視感ゼロの映像の数々には、短絡的なイメージが崩壊するだけの驚きが沢山詰まっている。
教育理念や演目の選択、更には経営方針においても、常に積極的に革新に取り組んできた姿勢がはっきりと浮かび上がってくる。伝統の継続だけに胡坐をかかない、先頭を走り続けるものの果敢な取り組みに、尊敬と感動を覚える。その自信と自負に裏付けされた、圧倒的な美しさが満載。見終えるのが惜しい、あっという間の160分。(増井志乃)
2009.9.27.update

