創作話芸の団体、SWAを率先して活動する新作の雄、春風亭昇太の、古典サイドがたっぷり詰まった3枚組。持ち前の自由な語りっぷりは、むしろ古典を演る時にこそより目立つように感じる。
オープニング・トークも含めて「錦の袈裟」、「崇徳院」、「寝床」、「時そば」、「愛宕山」、「悋気の駒」、「不動坊」と7つのネタが聴ける今作で、昇太の古典ワールドにどっぷりと浸ってみる。どの話にも付きもののヌケたキャラクターの愛くるしさは比類なく、「錦の袈裟」の与太郎などポッケラカンと突き抜けたバカぶりは、確かに妻同様ムショーにかわいがりたくなってしまう。
「不動坊」では、タナボタ的に長屋のマドンナをめとることとなった男のフワッフワの浮つきぶりが、「愛宕山」では幇間の一八の粋さゼロなクニャクニャぶりが、とても昇太らしい味付け。数多の演者による「時そば」(「時うどん」)の中でも、昇太ヴァージョンは爆笑編と言い切りたい。かと思うと「寝床」では恐るべき旦那の義太夫の破壊力をSF的飛躍で描写、戦争モノやホラー映画的展開へとグルーヴを増してエスカレートしていくナンセンスぶり、怪談噺にもなり得る勢いだ(笑)。創作話芸の面目躍如といったところか、俄然活き活きとしてくる。大胆な解釈の飛躍は定型があってこそ、新作でつけた筋肉を最大限に使いこなす昇太の古典は、独自の豊穣の地を耕している。
演じ手のパーソナリティーは自ずと登場人物に反映される、キャラクターが妙に好みだったら、お気に入りの噺家に出会えた証拠だ。(増井志乃)
2009.6.13.update

