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第二次大戦後のドイツ、15歳の少年は具合が悪くなった時助けの手を差し伸べてくれたはるかに年上の女性と、激しい恋に落ちた。秘密の逢瀬のたびに彼女に請われて、数々の本を朗読する少年。2人に安らぎと喜びをもたらした至福の時は、女の失踪である日唐突に終わりを告げ、少年の心に深い傷を残す。物語は数年後に大学の法科で学ぶ彼が、女と衝撃の再会をして苦悩する時間軸と、さらに時流れ弁護士になった彼が、20年近い歳月を経てある覚悟のもと、彼女と向き合う過程を行き来しつつ描く。
女の不可解な仕打ちに壊された少年の心が、やがて戦時中彼女のとった愚かな行為に嫌悪感を抱き、ある秘密を守るため更なる過ちを重ねてしまう女を憐む。ないまぜの感情の中、彼にしか出来ない方法を見出して救いなき女に手を差し伸べていく。少年の大学以降を演じるレイフ・ファインズが、非難、憐憫、罪と裁き、愛情……と入り組んだ感情の間で揺れ続ける。自らも屈折してしまった男の葛藤を表出させて秀逸。
この主演でオスカーを手にしたケイト・ウィンスレットは、結果的に断罪された女の単純にして複雑な心象を、圧倒的な説得力で造形している。非常事態で生きていく為に、不都合な事実に向き合う術をそれぞれがどう自分に言い聞かせてきたか。法廷で罪を問われた女は「あなたなら、どうしましたか?」と無自覚ともとれる真っ直ぐさで問いかける。今は成功者として映る虐待された側の人生描写も効果的に対比され、女の問いがスクリーンを超えてずっしり重く届く。他者へ、そして自分への許しが与えられるとしたらどんな可能性があるのか?ひとつの方向性を示し救いの光となっている。
6月19日より〈TOHOシネマズ スカラ座〉ほか全国ロードショー。(増井志乃)
2009.5.22.update

