ボサノヴァ第二世代として、セルジオ・メンデス等と共にその活動も世界観も大きく広げた功労者、マルコス・ヴァーリ。恒例となった〈ブルーノート東京〉公演は、いつもリラックスしライヴを楽しんでいる雰囲気。親日家でもあるらしい。
不思議な憂いを含んだオリジナリティ溢れる美メロの数々は、未だ色褪せぬ傑作揃いな上に、ずば抜けて備わったダンス・オリエンテッドなグルーヴ感は、他の追随を未だ許していない。ポルトガル語の歌詞を聴いて意味を理解は出来なくても、音数のひとつとして言葉遊びのような語感の歌詞が多く、グルーヴを更に急き立てるように作用して加速感が増すのも魅力だ。
マルコスのエレピが奏でる洒脱なフレーズの数々は、涙モノの心地よさ。そこにキレと跳ねの効いたベースと、出過ぎないトランペットが絡み大人なアレンジ。
15曲程の演奏のうち半分以上が、自然に身体の揺れるミドル・グルーヴで、サマー・カクテルもつい進んでしまう。あまりにも有名過ぎてベタ、な印象さえある選曲の「サマー・サンバ」も、本家の手による大胆な解釈は聴き違える程にクールで唸らされる。
終始肩の力の抜けた軽いノリで、やってのける重心の低いグルーヴ感にメランコリックなメロディ、こんなギャップが何よりも魅力。各ステージ毎に演奏曲もかなり変えている様子。
夏にマルコス・ヴァーリのライヴを楽しむ贅沢さ、来年も是非!(増井志乃)
2009.7.14.update

