チア・リーダーで彼氏共々学園一の人気者、と華やかなりし高校時代は見る影もなく、薄給なハウス・クリーニングの仕事になれ合いの不倫関係、と冴えぬ30代を生きるシングル・マザーの姉。エキセントリックでキレやすくバイト先はすぐにクビ、未だ父親と同居の自立出来ぬ妹。ズレた訪問販売に夢中で、頼り甲斐とは程遠い姉妹の父親。おまけに姉の一人息子も個性的な振る舞いで、小学校退学を迫られる。息子の私立高転入費用を稼ぐ為、高報酬を理由に勇気の要る仕事に足を踏み入れる姉妹、それは「事件現場のハウス・クリーニング」だった。慣れぬ現場に戸惑いつつも、ひとつひとつ仕事をこなしていくにつれ、手応えを得ていく。猛烈に臭く、むごたらしく、気持ち悪いだけであった事件現場は、そこで故人のパーソナリティを映し込んだ遺品に思いを馳せ、残された遺族の心もとなさを時に共有するうちに、次第に違う景色を見せ始める。生活の為のキツイ仕事が、姉妹それぞれに良い影響をもたらし始めたそんな矢先、思いもよらぬ惨事が……。
見失っていた自信を取り戻し、表情が輝き出す姉(エイミー・アダムス)のいじましさ、健気さが胸を打ち、幼少期のトラウマにとらわれていた妹(エミリー・ブラント)の悲しみをふっきろうともがく不器用さが痛々しい。同プロデューサー・チームによる前作『リトル・ミス・サンシャイン』での、強烈ながら愛しいおじいちゃん像が記憶に新しいアラン・アーキンが、再びひょうひょうとした味を出しつつ肝心な場面で父親らしさを発揮したりして、ここでもまたジーンとさせる。
時に反発すれど愛おしい、困難を共に乗り越えてゆくのが家族、その優しい眼差しが日差し(サンシャイン)のように温かい作品。(増井志乃)
2009.6.17.update

