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BOOK

『天才 勝新太郎』春日太一/発売中〈文春新書〉

 自叙伝を始め、これまで数多くの勝新の評伝を読んできたが、全てがリアルタイムで勝新と接して来た人たちによるペンによるものであったのに対し、今作の著者は77年生まれで、時代劇専門チャンネルTV で観た『座頭市物語』を観てガツーンと来たという。が、著者がすごいところは、勝新ファミリーだったビジネス・パートナー、映画製作陣、プロデューサーへの丹念な取材を行ない、肉声が記録された貴重な演出ディスカッション・テープの内容を記したりして、あたかも今、目の前に勝新が動いているかのような、濃厚なスタッフ・ミーティングに読みながら参加しているような疑似感を醸し出すことに成功しているのだ。また、スピード感溢れる筆力によって、芽が出ない20代、ガンガンとのしていき30代、天下を取った40歳、そして、黒澤監督との衝突、何もかもうまくいかなくなっていく50代を見事に活写しているのだ。特に一俳優から、演出、脚本、編集、そして監督と、クリエイターとして成長していく過程を切り取った30代の描写がすばらし過ぎ! 誰もがこの本を読めば、勝新作品を観てみたいと思わせる筈です。(山崎二郎)


2010.4.06.update

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